その不安、脳が“あなたを守っているサイン”かもしれません

不安や緊張は、とてもつらいものです。
胸がざわついたり、呼吸がしづらくなったり、眠れなかったり。
「このままどうにかなってしまうのでは…」と、不安が不安を呼んでしまうこともあります。

でもそれは、あなたの心や身体が、一生懸命に反応している証
誰にでも起こりうる、自然な防衛反応なのです。

自分の中で何が起きているのかを知ることが、
不安をやわらげる第一歩になるかもしれません。

不安になると、なぜ身体まで反応するの?

不安を感じたとき、胸が苦しくなったり、呼吸がしづらくなったり
そんな経験、ありませんか?

それは、あなたの脳が「危険が迫っているかもしれない」と判断して、
身体を“戦闘モード”に切り替えているサインです。

この反応は、「闘争・逃走反応(fight or flight)」と呼ばれています。

もともとは私たちの祖先が命を守るために持っていた、生き抜くための本能的なしくみで、
たとえば、目の前にライオンが現れたときに、すぐに逃げるか戦えるように、
脳が全身に「準備して!」と指令を出すのです。

現代の私たちも、脳のしくみは変わっていません。
だからこそ、ちょっとした刺激や不安に対しても、
脳は“本気であなたを守ろうとしている”のです。

不安を感じたとき、身体で起こる変化(闘争・逃走反応)

脳が危険を察知すると、自律神経(交感神経)が活性化して、次のような変化が起きます:

✅ 心拍数の増加・血流の促進 → 素早く動けるよう、心臓が血液を全身に送り出す

 呼吸の変化 → 酸素を多く取り込むため、呼吸が浅く速くなる

✅ 筋肉の緊張 → 胸の重さ(ざわざわ・もやもや)や喉の詰まり、肩こり、頭痛などが生じる

✅ 瞳孔の拡大 → 周囲の状況を素早く把握するため、視界が広がる

✅ 消化器系の働きの低下 → エネルギーを「戦う・逃げる」に集中させるため、消化は後回しにする

✅ その他の反応 → 汗をかく、手足が冷たくなる、体が震える

不安や緊張はこんなにつらい状態。防衛本能イメージ画像

これは 「敵が来た!」と身体が反応している状態 なんです。

散歩中に急にライオンが目の前に現れたと想像してみると
分かりやすいかもしれません。

「ライオン」=過去の記憶?

現代の私たちの前に、ライオンが現れることはまずありません。

あの時の言葉、ふとよみがえるつらい記憶。
実際に危険があるわけではなくても、脳は“似た状況”に過去の痛みを重ねて、危険だと判断して反応してしまうことがあります。

たとえば

  • 昔、否定されたときの記憶が、上司の一言でよみがえる
  • 友達の態度に、過去の孤独感が重なる
  • 小さなミスに、過去の失敗体験がリンクする

脳は“似た場面”を「また危ないかも」と判断してしまうのです。

防衛反応が強く出るのは、あなたのせいじゃない

不安や緊張による身体症状は、あなたを守るための自然なサイン です。

このように防衛反応が過敏になる背景には、次のようなことがあると考えられています。

  • 過去のトラウマや傷つき体験
  • 幼い頃に感情を我慢することが多かった
  • 否定されたり、理解されない経験の積み重ね
  • 常に“緊張を強いられる環境”で育った

心がざわつく、もやもやする、喉が詰まるなどの身体の起こる反応の原因は
幼少期の体験気づかないうちの感じた心の傷の積み重ねかもしれません。

今まで積み重ねた心の傷を脳が感じて
それはライオンに追われるくらい大変なことだと判断したのです。

ただし現代では、実際に危険ではないのに脳が過剰に反応している状態となってしまうことが多いのです。

不安が起こるのは、あなたの脳が「何かが危ないかもしれない」と一生懸命に反応している証拠。
それは「慎重さ」でもあり、「優しさ」でもあり、「深い気づきの力」でもあるのです。

次回は、不安をやわらげるためにできることをご紹介します

何度も同じ不安に襲われるのは、あなたが弱いからではありません。
それだけ、ずっと我慢してきた証なんです。

だからこそ、これからは「大丈夫だよ」と脳に伝えてあげて欲しいのです。

不安は生きていくために、必要な感情でもあります。
不安をゼロにすることは難しいですが、
日々の中で少しずつ「安心」を増やしていくことはできます。

次回の記事では、不安をやさしく和らげるための方法をご紹介しますね。

✅ 次の記事はこちら

👉 不安に押しつぶされそうなときに|心と身体をやさしく整える5つの方法